Traackrが「AI検索時代におけるクリエイターの役割」を解説。ブランドコンテンツではなく、クリエイターコンテンツがAI回答を支配し始めている
Traackrは、AI検索の回答でブランド公式コンテンツよりもクリエイターコンテンツが引用され始めていると指摘。GEO時代のクリエイター選定、ブリーフ設計、KPIの考え方を整理している。

What this means
AI検索で推薦されるには、単にSEO記事を増やすだけでは足りない。ブランドは購買前の具体的な問いを定義し、その問いに信頼性を持って答えられるクリエイターとの継続的な関係づくりが重要になる。
Traackrが「How Creator Content Shapes AI Search Results(クリエイターコンテンツはAI検索結果をどう形作るのか)」を公開。AI検索の普及により、ユーザーの購買行動が変化し、ブランドの自社コンテンツではなく、クリエイターコンテンツがAI回答の中心になりつつあると指摘している。
AI検索の台頭で「検索行動」が変わった
Bain & Companyによると、オンライン購入者の44%がAIを起点に検索を始める、またはAI・SNS・従来検索を併用しているという。
さらに記事では、ChatGPT経由の流入は通常の非指名オーガニック検索より31%高いコンバージョン率を記録しているとも紹介されている。
つまり、AI検索は単なる新しい情報収集手段ではなく、購買意欲の高いユーザーが利用する重要な導線になり始めている。
「見つかる」から「推薦される」へ
これまでのSEOでは、Googleで上位表示されることが重要だった。つまり、ブランドは検索結果の中で「見つかる」ことを目指していた。
しかしAI検索では、ユーザーが検索結果一覧を見るのではなく、AIが生成した回答そのものを読む。そのため重要なのは、AIの回答内でブランド名や商品名が「推薦される」ことだ。
記事では、ChatGPTに「扁平足におすすめのランニングシューズは?」と聞いた際、ブランド公式ページではなく、編集メディアやクリエイターコンテンツが引用されていた例が紹介されている。
AI時代は「クリエイターが権威」になる
記事で特に重要なのは、AIが引用するのは必ずしも大規模なインフルエンサーではないという点だ。
Monica Khan氏によると、AIは3万〜4万人規模のクリエイターを引用するケースも多いという。理由は、そのクリエイターたちが特定のテーマについて長年、継続的に答え続けているからだ。
つまり、AI検索時代に評価されるのはフォロワー数だけではない。特定カテゴリにおける専門性、一貫性、そして継続的な発信が「権威」として認識される。
クリエイター施策は「質問設計」から始まる
記事では、AI検索に最適化するためには、まずクリエイターを探すのではなく、「AIに答えてほしい質問」から始めるべきだと説明されている。
たとえば、ブランドが狙うべき問いは以下のようなものだ。
- 敏感肌におすすめの化粧水は?
- 初心者に最適なランニングシューズは?
- 子ども向けの安全な寝具は?
- 旅行におすすめのホテルブランドは?
そのうえで、それぞれの質問に対して信頼性を持って答えられるクリエイターを見つける。
これは、従来の「誰に投稿してもらうか」から、「どの問いに誰が答えるべきか」への変化だ。
ブリーフは「メッセージ」ではなく「問い」で作る
従来のインフルエンサーブリーフでは、ブランドメッセージ、トーン、投稿内容、納品物、投稿スケジュールなどが中心だった。
しかしGEO、つまりGenerative Engine Optimizationを意識する場合、ブリーフの中心は「問い」になる。
記事では、以下の4つをブリーフに含めるべきだと紹介されている。
- 勝ちたい検索クエリ
- 取りたいポジション
- 比較対象
- 明確にしたいユースケース
ブランドは「どの質問で推薦されたいか」を設計し、クリエイターはその問いに自分の言葉で答える。
この形であれば、ブランド都合の不自然な投稿ではなく、AIが評価しやすい一次体験・具体性・意見性を持ったコンテンツが生まれやすい。
マルチプラットフォームでの発信が信頼シグナルになる
記事では、現在GEOにおいて特に重要なプラットフォームとしてYouTubeが挙げられている。理由は、長尺で、検索にインデックスされやすく、情報源として引用されやすいからだ。
ただし、YouTubeだけに依存するべきではないとも指摘されている。
YouTube、Reddit、LinkedInなど複数のプラットフォームで一貫した視点を発信しているクリエイターは、AIにとって信頼性の高い情報源として認識されやすい。
つまり、今後のクリエイター選定では、単一投稿のリーチだけでなく、複数プラットフォームにまたがる発信の一貫性も重要になる。
KPIは「引用されるか」に変わる
従来のインフルエンサーマーケティングでは、リーチ、エンゲージメント率、いいね数、クリック数などが主要KPIだった。
しかしAI検索時代には、それに加えて「AIに引用されるかどうか」を測定する必要がある。
記事では、以下のような指標が紹介されている。
- AI回答内でのブランド言及
- 競合と比較したときの表示順位
- 複数AIモデルにおけるシェア
- AI経由のクリック率やコンバージョン率
- AIがブランドをどのような文脈で説明しているか
たとえば、同じ5万クリックを生むクリエイターでも、高意図の検索クエリでAIに複数回引用されるクリエイターの方が、より大きな価値を持つ可能性がある。
今すぐできること
記事では、ブランドがすぐに始められるアクションとして以下が挙げられている。
- ChatGPTやGeminiに、自社カテゴリの主要な購買質問を投げてみる
- どのブランドやクリエイターが引用されているか確認する
- 既存のクリエイターが、その質問に答えられるか棚卸しする
- 商品ごとに3〜5個の重要クエリを設定する
- 次回のブリーフに「答えてほしい質問」を追加する
- 月次でAI回答内のブランド言及をトラッキングする
まとめ
Traackrの記事が示しているのは、単なるAI検索対策ではない。クリエイターマーケティングそのものの役割が変わり始めているということだ。
これまでは、クリエイター施策はSNS上で認知やエンゲージメントを獲得するための取り組みだった。
しかしAI検索時代には、クリエイターコンテンツがAI回答の情報源となり、ブランドや商品の推薦結果を左右する可能性がある。
つまり、クリエイターは単なる広告配信者ではなく、検索結果を形作る存在になりつつある。
今後のブランドに求められるのは、フォロワー数の大きいインフルエンサーを探すことだけではない。自社カテゴリの重要な問いを定義し、その問いに信頼性を持って答えられるクリエイターと継続的に関係を築くことだ。
SEOが「検索結果に表示されるための施策」だったとすれば、GEOは「AIの回答に推薦されるための施策」だ。
そしてその中心には、ブランド公式コンテンツだけでなく、クリエイターのリアルな体験と視点がある。