Ronit Cohnが語る、長く続くクリエイター事業はフィードではなくファンに築かれる
Ronit Cohnは、ブランドが再生数やフォロワー数といった測りやすい指標に偏り、コメントや共有に表れるファンの反応を十分に見ていないと指摘する。クリエイターの分類も美容、フィットネス、ゲームといったジャンルではなく、視聴者がそのクリエイターをどう受け止めているかを軸にすべきだと語った。長く残るクリエイター事業は、規模やカテゴリーではなく、ファンとの直接的な関係と、視聴者の実際の需要に基づくという見方を示している。

Net Influencerは、Cohn Talent Group創業者兼最高経営責任者のRonit Cohnへの取材を通じ、クリエイターの価値をフォロワー数や再生数ではなく、ファンとの結びつきで捉えるべきだという主張を紹介した。Cohn Talent Groupは、ロサンゼルスを拠点にクリエイターのマネジメントと助言を行う企業で、ブランド提携、事業開発、キャリア支援などを手がける。
Cohn Talent Groupが見るクリエイターの価値
Ronit Cohnは、15年以上にわたりクリエイター業界に関わってきた。Interscope Recordsでブランド提携を担当し、YouTuberのMichelle Phanのキャリア運営に携わり、その後WarnerMedia傘下のFullscreenでクリエイター提携を率いた経歴を持つ。
2019年に設立したCohn Talent Groupは、個人ブランド戦略、コンテンツ戦略、事業開発、ブランド提携、キャリア指導などを扱う小規模な専門会社だ。Ronit Cohnによると、同社の所属・支援クリエイターはYouTube、Instagram、TikTok、Facebook、Xを通じ、1日あたり合計1億5,000万人超のファンに届いている。
彼女の中心的な考えは、クリエイターの価値は規模そのものよりも、視聴者との適合性や結びつきにあるというものだ。この視点は、ブランドが何を測るか、クリエイターをどう価格づけるか、どのように分類するかという議論につながっている。
再生数よりも、コメントと共有を重視する理由
Ronit Cohnは、コンテンツが機能したかどうかを示す指標として、視聴そのものよりも共有を重視する。ブランドは依然として従来型の数字に支払いがちで、コメント欄に表れる強い反応や共有の動きを十分に測っていないという。
彼女の見方では、再生は買いやすい一方、本物の反応は簡単には作れない。コンテンツが人を動かしたかどうかは、ただ見られたかではなく、コメントしたり共有したりするほどの反応を生んだかで判断される。
Ronit Cohnは、ブランドやインフルエンサー代理店がコメント欄を見落とすことを問題視する。コメントには、費用をかけてリーチしようとしている視聴者の理解につながる情報があり、ファンがクリエイターに抱く信頼や親近感を示す手がかりにもなる。
フォロワー数の条件が、最適な起用を妨げる
複数のインフルエンサー代理店との会話を通じて、Ronit Cohnはキャンペーン提案が事前に決めたフォロワー数の階層に基づいて組まれるケースに驚いたという。キャンペーンが承認されると、候補クリエイターはその人数条件を満たすかどうかで選ばれやすくなる。
その結果、案件との相性が良い大規模クリエイターでも、想定されたフォロワー数の範囲から外れることで候補に入らない場合がある。Ronit Cohnは、規模が大きいことが逆に不利に働くこともあると述べた。
彼女は、キャンペーンはあらかじめ決めたフォロワー数帯に合う人ではなく、その仕事に最も合うクリエイターを中心に組むべきだとする。カンヌでDhar MannとShira Lazarが開催したブランドとクリエイターの交流型ブランチを、規模ではなく適合性で出会う小さな試みとして挙げた。
分類軸はジャンルではなく、視聴者の受け止め方
業界では、美容、フィットネス、ゲームなどのコンテンツカテゴリーでクリエイターを分類し、そのラベルをもとに提案を作る習慣がある。Ronit Cohnはこの仕組み自体が完全に壊れているとは言わず、自分には将来を見据える視点があると表現した。
彼女は、これまで担当してきたクリエイターと商品を立ち上げ、消費者へ直接販売する事業づくりを試してきた。その経験から、ニッチ、カテゴリー、ジャンルではなく、視聴者がそのクリエイターをどう認識しているかを重視するようになったという。
この考え方は、指標やフォロワー数への批判ともつながる。測りやすい項目ではなく、提携や事業の成否に関わる要素を見なければならないという主張だ。
長く残る事業は、ファンとの直接的な関係に基づく
Ronit Cohnは、音楽業界でレコード会社が苦境に陥った理由の一部を、観客との関係を自ら持っていなかった点に求める。クリエイターはファンとの関係を直接持っており、その関係こそが、リーチやカテゴリーよりも長期的な事業の資産になると見ている。
一方で、順序を誤るクリエイターもいる。Ronit Cohnは、本人が作りたいだけで、必ずしも視聴者の需要を満たさない自己満足型の企画を立ち上げる例が多いと指摘した。
今後5〜10年で、実際の視聴者ニーズに基づく事業だけが残るような淘汰が起きるとの見方も示した。アルゴリズム、つまり表示順やおすすめを決める仕組みに頼るのではなく、十分に深い結びつきを作れば、ファンは自ら探しに来るという考えで締めくくられている。
What this means
Ronit Cohnの主張は、クリエイターの価値を再生数、フォロワー数、ジャンルだけで判断する慣行への問題提起にある。ブランド提携や事業づくりで重視すべきなのは、コメントや共有に表れる信頼、親近感、需要だという整理だ。長く続くクリエイター事業は、フィード上の露出ではなく、ファンとの直接的な関係に支えられる。