ブランドは社内プロセスでインフルエンサー施策を損なっている、Outloud Group幹部が指摘
記事では、成果が出ないインフルエンサー施策の原因はクリエイターではなく、ブランド側の承認プロセス、細かすぎるブリーフ、ブランドの言葉遣いを強制する姿勢にある場合が多いと説明している。Bradley Hoos氏は、明確な目標設定、クリエイターへの裁量、過去実績データの活用、AIの補助的利用が重要だと述べている。一方で、AIはクリエイターと視聴者の信頼関係を再現できないとも指摘している。

Net Influencerの記事「ブランドは社内から自らのインフルエンサー施策を静かに損なっている、Outloud GroupのBradley Hoos氏が指摘」は、The Outloud Groupの最高経営責任者であるBradley Hoos氏への取材を基に、インフルエンサーマーケティングの成果を妨げる要因を整理している。The Outloud Groupは、デトロイトを拠点にYouTube、TikTok、Instagram、ポッドキャストで企業向け施策を支援するインフルエンサー代理店である。
Outloud Groupが見てきた成果不振の要因
Bradley Hoos氏は、2014年にThe Outloud Groupへ参加し、2022年から最高経営責任者を務めている。同社は60〜65人規模の体制で、米国、メキシコ、カナダ、エクアドル、フィリピン、台湾にスタッフを持つ。
同社は、3万4,000件超のブランドスポンサー施策と、3万1,000件のクリエイター関係にまたがる実績データを蓄積している。Hoos氏は「過去の成果は将来の成果を示す最良の指標だ」と述べ、視聴者がクリエイターを購買行動の基準として信頼しているかを重視している。
ただし同氏は、どれほどデータがあっても、ブランド側がインフルエンサーマーケティングを機能させる構造になっていなければ成果は出ないと説明している。
法務承認やブランドの言葉遣いが施策を硬直させる
Hoos氏は、新しいブランドと取り組む際、施策が苦戦する兆候として、法務部門がコンテンツ承認に深く関与するケースを挙げている。医薬品やギャンブルのように規制が強い業界では法務確認が必要だが、一般消費財のブランドでは警戒すべき兆候だとしている。
同じ問題は、クリエイターに一字一句台本を読ませること、クリエイターの視聴者にとって不自然な形式で長い商品説明を求めること、ブランド自身の言葉遣いで話すよう求めることにも表れる。
Hoos氏は、ブランドが時間をかけて築いたブランドボイスを持っていても、クリエイターとの提携ではそれを押しつけるべきではないと述べている。クリエイターにブランドの言葉を使わせると、不自然に聞こえるためである。
成功する施策はブリーフ前に目的を明確にする
Hoos氏によると、成功するブランドパートナーの違いは、予算や制作力よりも、施策開始前の明確さにある。最大化したいものが視聴数なのか、購入などのコンバージョンなのか、優れたクリエイティブな物語なのかを事前に定義する必要がある。
コンバージョンとは、広告や投稿を見た人が購入、登録、資料請求などブランドが求める行動を取ることを指す。ブランドが成功の定義と指標を先に決めているほど、施策の成果は安定しやすいと記事は説明している。
その明確さがあるからこそ、クリエイターに自由を与えられる。Hoos氏は、可能であれば話すべき要点さえ設けない形を好むと述べ、一般的にクリエイターの自由度が高いほど成果が良くなるとしている。
AIはデータ分析を助けるが、信頼は再現できない
The Outloud Groupの施策データは、1件のスポンサー施策につき約50〜60項目にわたる。同社は、過去に視聴者をブランドページの閲覧や購入へ動かしたクリエイターを特定し、商業的成果を予測する基準として活用している。
AI(人工知能:人間の知的作業をコンピューターで処理する技術)は、この大量データから重要な発見を素早く抽出するために役立っている。Hoos氏は、成功を予測しやすい変数を見つける作業は、同社の規模では手作業だけでは現実的ではないと説明している。
一方で、AIが再現できないものとして、Hoos氏は「知っていて、好きで、自らフォローしている人への信頼」を挙げている。視聴者は広告を避ける一方で、信頼する個人の推薦を選んで受け取っており、そこにクリエイターの強さがあるとしている。
米国の手法をそのまま中南米へ移すことへの注意
The Outloud Groupは中南米での展開を進めており、メキシコに約10人のスタッフを置き、エクアドルにも拠点を持つ。Hoos氏は、米国のインフルエンサー施策の型を海外に広げる際の誤りとして、メキシコを米国より3〜5年遅れた市場と捉える考えを挙げている。
同氏によると、中南米の嗜好や行動には、その地域ならではの選択がある。例えば、米国では保険が個人の取引として扱われる一方、メキシコでは地域社会を基盤にした相互扶助の考え方があり、金融に関する意思決定の前提が異なる。
Hoos氏は、新市場への参入は単なる言語やコンテンツの課題ではなく、概念の課題だと述べている。また、クリエイターエコノミー(クリエイターがコンテンツ制作やファンとの関係を通じて収益を得る経済圏)は、専門化、グローバル化、複数プラットフォーム化へ進むと説明している。
まとめ
インフルエンサー施策が成果を出せない要因は、クリエイター選定だけではない。承認プロセス、細かすぎるブリーフ、ブランドボイスの押しつけが、信頼されるクリエイターの表現を弱めている。The Outloud GroupのBradley Hoos氏は、成果を高めるには目的を明確にしたうえで、クリエイターに自然な表現の余地を渡す必要があると説明している。
What this means
この記事は、インフルエンサーマーケティングを成果につなげるには、クリエイター選定だけでなく、ブランド側の体制や判断基準が重要だという論点を扱っている。特に、法務の過度な関与、台本の強制、米国の成功パターンを他地域にそのまま当てはめることが課題として挙げられている。