Loop Earplugsの売上拡大に学ぶ、クリエイターマーケティングの6つの実践
Loop Earplugsはマーケティング予算の約1割を実験用に分け、短期売上だけに縛られないクリエイター施策を実施。早期指標の事前合意、製品の愛用者との提携、複数の媒体を組み合わせた発信などを進めている。

ベルギーの耳栓ブランドLoop Earplugsは、年間売上高約1億ドルから、今年は2億4000万〜2億5000万ドルへの拡大を見込んでいる。最高商務・マーケティング責任者のロブ・ウェストン氏が、クリエイターや著名人との協業に充てる予算と、その効果の測り方を語った。
実験予算を分け、成果指標も設ける
ウェストン氏が3年前にLoop Earplugsに加わった当時、年間売上高は約1億ドルで、集客はMetaの広告に大きく依存していた。同氏は、その広告がいつまでも成果を生み続けるとは限らないと指摘する。
同社はマーケティング予算の約10%を、売上などの成果を直接狙う広告費から切り出し、実験用に充てた。広告費用対効果は通常の成果重視の広告で約2.5〜3を目安とする一方、実験予算では1を想定。短期売上よりも影響力を重視して選んだクリエイターへの支払いに活用した。
ただし、実験予算にも成果の測定と責任は必要とする。厳格な広告費用対効果の目標に縛られず、何らかの方法で評価する方針だ。
長期施策は財務部門と早期指標を共有
YouTubeとGoogleでの試験では、広告接触から成果を計上するまでの期間を少なくとも12週間に設定した。そのうえで、最高経営責任者と最高財務責任者は、開始前にサイトへの流入、施策にひも付くブランド検索、認知度の向上、購入などの成果の増加を進捗指標として合意した。
12週間後の損益分岐だけを待つのではなく、指標が良い方向に動いていれば支出を続ける。ウェストン氏によると、ブランドへの効果が表れるまで18カ月かかることもあり、ベンチャー投資家や投資ファンドとの間で短期成果とのバランスを取るのは難しいという。
製品の愛用者と組み、共同商品で費用を回収
Loop Earplugsは、提携前から自社の耳栓を使っていた著名人を起用した。歌手のハリー・スタイルズが音楽祭で装着している姿や、マクラーレンのレーシングドライバー、ランド・ノリスの使用を確認していたという。
パリス・ヒルトンも接触前から愛用者だった。同社は8月にヒルトンとの限定版「Loop Engage」を発売し、10月には彼女が主催した注意欠如・多動症のクリエイター向け催しに協賛した。
共同商品では最低保証額と売上の分配を組み合わせ、一定数を販売すれば費用を回収できる契約を結ぶ。ウェストン氏は、費用回収を基準にすることで、認知や「いいね」の数だけで契約を正当化せずに済むと語った。
複数の媒体で同時に発信し、表現も管理
ハリー・スタイルズとの施策では、広報、ウェンブリー周辺のポスター、会場にいるインフルエンサー、広告を同じ日に連動させた。ウェストン氏は、450人のクリエイターを同時に起用したVaselineの施策にも触れ、複数の媒体を組み合わせる効果を挙げた。
一方、販売成果に応じて報酬を受け取るクリエイターの広告には、許容できない表現もあったという。同氏は、処分セールだと伝える投稿が実際にあったと明かした。
個々のクリエイターによる投稿の効果測定は、なお解決していない。Loop Earplugsは、成果重視のクリエイター施策に、購入などの成果に重点を置くインフルエンサーマーケティング基盤のThe Cirqleを利用している。
What this means
Loop Earplugsは、Metaの広告への依存から施策を広げるため、マーケティング予算の約1割を実験用に確保した。短期の広告費用対効果だけでなく、流入やブランド検索なども判断材料とし、製品を以前から使っていた著名人と提携。共同商品の販売による費用回収や、複数の媒体を組み合わせた発信も重視する。一方、個々のクリエイターの投稿効果を測ることは、依然として課題に残っている。